Monologue

日々の考えたこと

読書記録: 電子・光材料(第2版)

誘電体、半導体といった電子材料や、ディスプレイで使われる光材料などを扱っている教科書です。 下員の教育を行うのに参考にしました。

背景

職務内容の詳細は避けますが、私の職場では多種多様な材料を扱います。 一方で、それらの物性や応用を理解している人は少なく、 「言われた通りの作業をこなすだけ」の方が多いのが悩みでした。 そのような状況では、仕事の面白さも感じられないでしょうし、組織に対するエンゲージメントが失われるばかりです。 そこで、ちょっとした勉強会を画策・実施しました。その際の参考にしたのが、この教科書になります。

本の内容について

「電気電子材料」「固体物性」「電子物性」などのタイトルがついた教科書は、電磁気学量子力学の知識が前提とされており、複雑な式を経て解説されているものが多いですが、この教科書は数式がほぼ現れません。 高校物理・化学程度の知識さえあればスムーズに読み進められる内容になっています。

私の所属している係には、自然科学以外の学部・学科を卒業された方や、高卒の方も所属しています。数式なしで上手く説明しているこの本は大変参考になりました。

内容としては、各種材料の定性的な性質や代表的な物質、製造プロセスの紹介がされています。製造プロセスについては、私自身も知らない知識も多く、興味深く読めました。

おすすめしたい人

初学者向けの内容となっているため、電気電子系や材料を扱う学生の方は、より高度な教科書を読む必要があるでしょう。ただ、学校の授業で面食らってしまった方は、この教科書で全体の概要を把握するのも良いと思います。

また、上述の通り高校物理、化学の知識で読み進められる内容となっているため、理工系以外の方が読むのにも適していると思います。具体的には、電子産業に関わる営業の方とかでしょうか。最近の半導体産業の盛り上がりから、電子部品、電子デバイスの分野への関心が高まっている方にもオススメです。